証拠収集、調査検討を経て、病院側に責任があると判断した場合には、多くの場合、いきなり裁判をするのではなく、代理人(弁護士)が示談の交渉をします。
「示談」というと、「手を打った」というようなマイナスイメージがあるかもしれませんが、そのようなことはありません。和解とほぼ同じ意味で、話し合いをして合意に至った、ということです。ここでは、裁判上の和解と区別するため、示談と呼んでいます。
示談は、裁判に比べて、早期に解決できるのがメリットです。他方、裁判で解決するより、賠償額は低額になりがちです。裁判をせずに病院側がほぼ請求通り満額を支払うということは、滅多にないからです。
ただ、未解決であるという状態そのものが相当のストレスになりますから、早期解決できるというのは大きな大きなメリットです。
以前に比べれば、病院が示談に応じることは増えてきています。
とはいえ、示談が成立するというのは、病院が多少なりとも非を認めることが前提ですので、現状でもやはり、示談が成立することはあまり多いとは言えません。
示談はできなかった場合でも、すぐに裁判に持って行くのではなく、調停やADRといった手続きを利用することがあります。
調停とは、簡単に言うと、裁判所で行う話し合いです。調停委員という中立の第三者が入りますので、示談はできなかったが調停なら話がまとまることがあります。
まとまらなければ調停不成立(不調)となります。
ADRとは、裁判外紛争解決手続の略で、調停のような手続を裁判所以外が行うことをいいます。
仙台では、仙台弁護士会がADRを設けており、仲裁人という弁護士が中立の立場で手続きに関与します。
ただ、いずれの手続きも、本質的には「話し合い」ですので、話し合いに向かない案件(医療機関)もあります。そういった場合には、裁判をすることになるでしょう。
事件ごとに、どの手続きがふさわしいかを検討します。